夜空の宝石箱

”満天”初の夏番組は歌手・坂本真綾のナレーションによる「夜空の宝石箱」。
都会の中で星を観ることのできる不思議な喫茶店「プラネット・カフェ」から、宝石のような美しい天体を探して宇宙へ旅に出るという物語だ。
見た目の美しい天体を探すというコンセプトから、どちらかというと学術的な興味よりも雰囲気を楽しむためにプラネタリウムを訪れる客層が対象のような第一印象を受けたが、画面一杯に映し出されるハッブル宇宙望遠鏡が捉えた鮮やかな天体写真の数々には感嘆せずにはいられなかった。
スライドやＣＧを多用するとせっかくの星が見えづらくなり、天文ファンにとっては不満の多い投影内容になりがちだが、鮮明な天体写真を大画面で見る構成はそれはそれで新鮮な印象だった。
今年２月に発表されたばかりの、バラの花束状の星雲[nasa.gov]やビートルズの「Lucy in the Sky with Diamonds」にちなんでLucyと名付けられたダイヤモンドの核をもつ白色矮星[harvard.edu]など、新しい天文情報がさりげなく盛り込まれているのも好印象。
欲を言うとすれば写真の天体の名前が最後のクレジットで流れていたこと。写真を表示する時に一緒に紹介されていれば自分のお気に入りの”宝石”を覚えておくことができ、より親切だっただろう。

なお、通常の夏番組の他に、夏休み特別番組として「天空からの挑戦」というポケットモンスターの番組も用意されていた。

（本文中敬称略）

(2004 November 4)