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2004年11月14日「虹の天象儀」

スターホールの投影は、前半が生解説による星空案内。館内に入場すると、投影開始時刻前から解説員による星空についての話が始まっており、既に着席している観客が耳を傾けていた。
やがて投影開始時刻を迎えると辺りが暗くなり星が映し出される。
この日はペガススの四辺形を探し、ペガスス座やアンドロメダ座を始めとした秋の星座の数々とそれにまつわる神話を紹介。まるで子供に昔話を聞かせる母親のような、ゆったりとした語り口だ。
さらにアンドロメダ座にある有名なアンドロメダ銀河を天体写真で紹介。アンドロメダ座は我々の銀河系から230万光年離れている。つまり写真に写っているのは230万年前に放たれた光。星を見るということは過去を見ることにもなるのだ。

この館の投影は、川崎市青少年科学館のように前の話題からテーマ番組に繋げていくのとは対照的に前半と後半がはっきり分かれているのが特徴的だ(もしかすると担当解説員によって異なるのかもしれないが)。

後半の「虹の天象儀」は、作家・瀬名秀明氏の小説を番組化したものだ。
原作は2001年3月に閉館した天文博物館五島プラネタリウムを舞台にしたSF作品。”どんな時代の星空も映し出せる機械”であるプラネタリウム投影機を通して時空を旅する主人公とその周りの人々がプラネタリウムに対する想いを後世に繋げていくという話だ。
番組では約30分の時間内にまとめなければならないため当然原作と設定を変えてある部分もあるが、登場人物を少なくした分話の筋がスッキリしていて分かりやすくなっていたように感じる。

閉館を迎えた五島プラネタリウム(番組内では「天文科学館」になっていたが)の最終投影から始まる番組冒頭では同館の名物だった渋谷の風景を切り取った影絵がスカイラインで再現されていた。同館のファンにとってはとりわけ印象深いに違いない。

アニメ調のイラストには賛否両論があるかもしれないが、五島プラネタリウムや東日天文館といった往年の名館の雰囲気に触れることのできる内容は魅力的。プラネタリウムが好きなら観る価値はあるだろう。

なお、この番組は2005年1月10日まで、さいたま市青少年宇宙科学館[saitama.jp](さいたま市浦和区)で観ることができる。

(2004 December 16)

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