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「三蔵法師の見た星空」

平成15年11月30日。
午後5時頃、一般投影が終了してすっかり暗くなった川崎市青少年科学館周辺に大勢の人々が集まって賑わいを見せていた。同館が開催している「プラネタリウム宇宙教室」に参加した市民が番組を企画・制作して投影が行われたためだ。
ナレーションや投影機の操作を市民の手で行うのはもちろん、手描きのスライド原画、さらにBGMまでリコーダーの生演奏場面があるという凝りようだった。

この日のテーマは「三蔵法師の見た星空」。
物語は川崎市の北緯35度線上から始まった。
ほぼ同緯度にあるという三蔵法師の生地や、旅の途中に滞在した場所などから見える星空を中心に、各地の写真やアジア周辺の地図などのスライドを交えて旅路を辿っていった。途中、バーミヤンの石仏(偶像崇拝を禁ずるイスラム勢力タリバンに破壊され、残念ながら現存しない)の往年の姿など貴重な写真もあり、旅情を感じさせる展開だった。

地球の自転軸は“歳差”と呼ばれる首振り運動によって長い年月を経て変わるため、当時の地球の自転軸は現在と異なる。 そのため、同じ北緯35度でも現在の川崎から見ることのできる星空とはだいぶ異なっているということが紹介された。 何と、当時は日本の本州から”み○み○ゅ○じ座”を見ることができたという。

また、三蔵法師といえば西遊記でおなじみであるが、今回の投影でも参加者自らが描いた「西遊記」登場人物イラストのスライドと共に、実際の旅と西遊記の比較などが紹介された。

市民参加の手作り番組ということでナレーションが生だということは予測がついたが、BGMまでリコーダーの生演奏があったのには驚きだった。
さらに驚きだったのは、プロ解説員ではない、いわばアマチュア集団による投影であるにもかかわらず、大勢の観客がいたことだ。科学館解説員の話によると、当日の一般投影全ての回の観客を合計したよりもこの特別投影に入場した人数の方が多かったそうだ。このような試みへの関心の高さがうかがえる。

プラネタリウム宇宙教室参加者による投影は今後も続く。
次回のテーマは、ホルストの「惑星」を、作曲された頃の時代背景と関連させて採り上げる予定だ。

(2004 April 18)

追記(2004 October 4)
「三蔵法師の見た星空」は青少年科学館解説員の解説・投影による11月の通常番組として再び公開される予定。

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